市営バスの前身は,1928年1月25日に当時弁天町で運送業を営んでいた高木莊治が函館駅から根崎まで12人乗りのバスを走らせたのが最初である。その後,1943年3月16日に道内電気軌道株式会社から軌道事業とバス事業を譲り受けた時に函館市営バスが発足した。戦後は順調に発展を続け,1966年には乗客が年間2600万人に達したが,住宅地が郊外へ拡散したことにより乗客が減少し始めた。居住エリアの拡散に合わせ路線網の見直しを随時進めたが,急速なモータリゼーションの進展もあり乗客減少に歯止めががかからず,経営がより悪化し,人件費抑制や路面電車の廃止などをせざるを得なくなった。その後もさらに路線の縮小などを行ってきたが,函館バスとの「エリア協定」により新興住宅地へ乗り入れができず,経営はますます悪化の一途をたどっていった。
こうした状況から2000年11月に「函館市交通事業経営計画」を策定。市営バスを函館バスへ3年で移管することが決まった。その当時働いていた人々は,函館バスへの転籍もあったが、多くは他の部局へ配置転換され車両は函館バスに計84台転籍した。そして2003年にすべての路線が移管され,60年の歴史に幕を下ろした。その後も函館バスで市営バスの車両が活躍していたが,2013年9月をもって最後の1台が廃車となり全廃となった。(下の写真のバスが,最後まで残っていた市営バスの車両で,2012年6月棒二森屋前にて撮影)